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【ISO20000】SLAはどうやって作れば良い?SLAの作り方・策定方法

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ISO20000規格認証の中でも非常に重要な要素である、SLA。

※SLAとは何か? は下記の記事を参照してください。

本記事では実際に策定した際の流れをまとめて書いてみます。
SLAの内容は各組織の状況や環境によって左右されるため、これから書く方法が正しい、この方法でなければならないというものではなく、「体験談」的なものとして見て頂けると良いのかな?と思います。

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【ステップ1】SLA作成前の準備作業・調査

SLAを作成することになった場合は、いきなりSLAの作成に着手するのはではなく、他サービスのSLAを含め、既存SLAの有無や内容を調査し、整合性を取るところから始めましょう。

SLAを初めて策定する場合は特に問題ありませんが、そうでない場合は注意が必要です。
既存のSLAの有無とその内容を考慮することなくSLAを作成してしまうと、1サービスに対して複数の顧客それぞれにSLAが策定されてしまったり、あるいは社内で複数のSLAそれぞれペナルティの内容や、条件の異なるSLAが乱立してしまうという状況が発生しまうといった状況に陥ります。

こういった状況になると、いざ障害が発生した時に、どのSLAが発動し、どういったペナルティを実施すべきなのか、といったことが判断できなくなってしまいます。

また、SLAの達成状況は数値的な測定・評価できることが絶対ですので、複数の異なる内容のSLAを作ってしまうと、個別に測定可能な仕組みをつくらなくてはなりませんし、

更にはそれを異なる手順でそれぞれ集計・管理する必要が出てきます。

SLAを乱立させるということは、実際の運用に与える影響が極めて大きいため、社内的な運用を十分に考慮した上でSLAを作成する必要があります。
必ず社内のSLAとの整合性を取り、個々のSLAで矛盾したり運用が大きく異なることが無いように注意し、作成にあたってください。

【ステップ2】サービスレベル要件の洗い出し

SLAを作成する前の前段作業として、「SLR(Service Level Requirement)=サービスレベル要件」を作成すると良いです。

SLAはサービス提供者・顧客双方の立場から策定されるものですが、SLRはその前段として完全に顧客観点でのサービス要求・要件を洗い出します。
顧客がサービスに対して何を要求しているのか、どういったことがサービスの要件なのかを洗い出しておかないと、顧客の要望しない的外れな内容のSLAになってしまいます。

こういったことを防ぐ為にも、実際にSLRを文書に落とし込むかどうかは別として、まずは顧客の視点でサービス要求・要件を洗い出しておくことが必要です。
この作業を完了後、SLRをベースにして実際にSLAを作成する段階に入ります。

【ステップ3】SLAの作成

実際にSLAを作成するにあたり、最初にやるべきことは「何を保証項目とするかを決める」事です。

保証項目が決まらないと保証内容を決める事ができません。そうすると保証するための仕組みも考える事ができないので、まずやるべきは保証内容の決定です。
この保証内容の決定には以下の点を考慮する必要があります。

数値で測定・評価が可能である事。

品質保証ですので、達成できているか/達成できていないか の判断ができなくてはなりません。

当たり前ですが、単に自己申告で「達成できました」ではダメです。
客観的証拠(つまり数値)をもって、達成できた・できなかったという判断ができる内容である必要があります。 

よって必然的に測定不能なものは保証内容には出来ません。
どうしてもやるのであれば、測定方法を検討する必要が出てきます。 

保証内容(保証値)が、達成可能な現実的な数値である事。

SLAの保証値は努力目標ではありません。『絶対に達成できなければならない』数値です。

従って、保証内容(保証値)にあげる内容は、裏付けが必須です。
実現可能かどうかという事前調査・測定も実施した上で、内容を決める必要があります。

実現できないようなSLAを策定してしまうことは、サービス提供者・サービスを受ける側双方、不幸な結果になってしまうかもしれません。
無理しなければできないような目標ではなく、あくまでもサービス提供者がしっかりとサービス提供の努力をしていれば到達するであろうレベルのものである必要があります。

サービスの要求事項に含まれる内容である事。

当たり前ですが、サービスに関係ない内容を保証内容に設定しても意味がありません。

大前提としてサービスとして保証すべき内容、もっと言うと顧客が望むサービス品質に対し、サービス提供者として可能な保証内容を設定する必要があります。

先のステップで洗い出したSLRをもとに考えるとより良い内容が考えれると思います。

以上のポイントを踏まえてSLAの内容を策定していけば、ある程度はSLAの保証内容というのが見えてくると思います。
非常に難しいですが、上記の内容はSLAを維持運用する上でも非常に重要なポイントとなります。
原則的に『SLAは努力目標ではなく、対価に見合うだけのサービス品質保証』ですので、この点を踏まえたSLAの内容策定をする必要があります。

【ステップ4】SLAのレビュー

SLAの作成ができたら、SLAに関係する人に対してレビューを行います。
当然ですが、ここでいう「関係する人」にはサービスを受ける側(お客様)も含まれます。

SLAはサービス提供者側が一方的に策定するものではないので、あらかじめお客様も含めて双方合意の上で策定されることが望ましいです。

ただ、ここで問題となってくるのが不特定多数の人にサービス提供している場合のSLAはどうしたら良いか?です。

そのような場合は、全員にレビューするのは現実的ではありませんので、お得意さんにのみレビューする等、何らかの対応を検討するなど、サービスを受ける側の人、あるいはそれに近しい第三者がSLA策定時のレビューワーとして入っていると一方的な内容になりづらいと思います。

【ステップ5】SLAの周知・教育

ここまでの作業も十分に大変ですが、意外と難しいのが、「SLAを周知すること」です。
ここで言う、周知とは顧客ではなく社内での話です。これが簡単そうに見えて結構難しいです。

SLAは測定・評価することが非常に重要ですが、その上で「運用できること」が絶対条件です。
この「運用できること」は単に測定・評価することを指しているのではありません。

障害が発生した時に、それがSLAに抵触する内容なのかどうか判断出来、SLAを守るための最善の動きが出来ることが「運用できること」です。

そのためには、SLAに関係する人(供給者も含む)に、SLAの保証内容をしっかりと覚えてもらう必要があります。

従って、SLAは社内回覧やメーリングリスト一斉送信で読んでおいて~ などでは済まさず、部門会議で個別にやるべきことを明確化して周知し、教育研修を行うなど、必ず個別の時間を取ってください。

SLAの保証内容を知らずにSLAを守っていくことは不可能です。
ここまで実施してきたことを形にするためにもしっかりと周知にも時間を割きましょう。

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【ステップ6】SLAの締結・運用

社内の体制も十分できたら、SLA締結をしましょう。
ここまでくるのも長い道のりだとは思いますが、ここからが本番です!

SLAの最も難しいところは、1度作ったら終わりではなく、サービス提供される間は維持しなければならないところにあります。

SLA締結後もしっかりと運用していくためには、下記のポイントを気を付けると良いでしょう。

定期的に教育・研修する!

人間だれしも忘れるものですね。それが守らなければならないルールであっても。
SLAがあるのは知ってるけど、内容を忘れてしまった・・・・なんて状況がしばらくすると出てくるでしょう。

忘れてしまうことは仕方がないことですが、それを放っておくことはできません。
SLAの内容がわからないのに、どうやってSLAを守るんでしょうか?
もちろん、SLAの内容がわからずとも違背を防げるような仕組み・体制があることが一番望ましいですが、それでもSLAの内容はしっかりと覚えておく必要があります。

従って、根気強く、定期的に教育研修をすることが望ましいです。
教育側の担当者はとても大変でしょうが、内容をしっかりと覚えてもらい、SLAを守っていくためにも非常に重要な作業となりますので、定期的な教育研修は実施することを強く推奨します。

SLAを見直す!

SLAを見直すの?と思う方もいるかもしれませんが、これは非常に大事なことです。
ISO20000の規格にも記載されていることですが、ここで言う「見直す」とは、主に2つのパターンが考えられます。

●定期的な見直し
●サービス内容変更に伴う見直し

それぞれの内容を書いていきます。

●定期的な見直し
SLA締結後、1年に1回くらいの間隔でSLAを見直すと良いでしょう。
何もかも順調にいっていて内容に問題ない!というのであれば、問題ないね~という感じでサラッと確認するだけで良いです。
そんなに難しいことではありません。

しかし、ここで大事なのは見直しをする機会をもつ、ということです。
きちんとSLAを運用できているのか?SLAの内容が組織の状況や時代に即しているのか?
定期的に見直すなど、何かしらのきっかけを作らないと、そのSLAはサービス提供者あるいはサービスを受ける側どちらかに偏りすぎたものになってしまうかもしれません。

SLAをきちんと守り、適切に運用するためにもこうした見直しの機会は持っておくことが重要です。

●サービス内容変更に伴う見直し
定期的な見直しの他にも、サービス内容が変更になった、あるいはサービス提供のための体制が大きく変わってしまった、などの場合も見直してみると良いでしょう。

サービス提供のための状況が変わったのであればSLAにも何かしら影響を与える可能性があります。
何かあったら確実に違背になってしまうようなSLAを維持し続けるのは不幸な結果を招くだけです。

(参考)SLAのペナルティ設定はどうしたら良いの・・・?

SLAを作成する際、非常に難しいのがペナルティの設定だと思います。

一般的には金銭的なペナルティを設定することが多いですが、金銭的なペナルティの他にも下記のようなペナルティを設定するケースもあります。

●入札案件の場合、次回契約更新時の入札資格停止
●障害時間に応じたサービスの無料提供 (本来有料の作業について、x回、x時間分の作業を無料でやる 等)

規格上、法律上、いずれにおいてもペナルティの内容は特に制限が無いので、サービス内容を踏まえて適切と思われるペナルティを考えてみるのも良いでしょう。

と、いいつつも、一般的には金銭的なペナルティを課すことが殆どのようです。
少し古い資料ですが、IPAからSLAに関する資料がでているのでそちらを参考にしてみるのも良いですね。
(※ペナルティについては「(6) 結果対応」を参照)

【IPA】情報システムに係る政府調達への SLA導入ガイドライン

以上、SLA作成の方法についてのまとめでした。

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